石坂産業に学ぶ☆サステナブルカンパニーのヒント

地域のため、社会のため、地球のために

素晴らしい取組みをされている石坂産業さん。


サステナブルとカタカナで表現される前から

サステナブルな事業をされているわけですが


三富今昔村や施設内を見学した時に気になったのは

事業に加えて、現場ではたらく社員の皆さん。



産業廃棄物処理という事業を営みながら

施設内はとてもクリーンで明るく


通りすがりの社員さんたちは必ず挨拶をして下さり

皆さんがとても楽しそうな様子が印象的でした。





社長の石坂典子さんの本を読むと

最初から明るく楽しい職場だったわけではなく

むしろ過去には会社継続が危ぶまれるくらい

困難に満ちていたことがわかりました。


産業廃棄物処理のために焼却炉を有していたため

ダイオキシン問題が注目された1999年頃から

批難の的になってしまった石坂産業さん。


実はダイオキシンを発生させない焼却炉

を導入していたにも関わらず

出ていってくれと抗議が相次いでいました。


NIMBY(Not in my backyard)ですね。


現社長の石坂典子さんは

当時営業部門で活躍されていて

社長を務めるお父様に、なぜこの会社を始めたのか

今後どうしていきたいのかを聞き

初めてその深い思いを知ることになります。


というのも、お父様は背中で語る職人気質で

普段そういったことを話す機会は無かったそうです。


娘である典子さんが生まれた当初は、

埋立地である東京湾 夢の島に、

トラックで産業廃棄物を運び、捨て続ける日々。


埋め立てには限界があり

こんなことを続けていてはいけないと

リサイクル事業を始めたそうです。


そして地域の人々に反対されていたこの時も

未来の社会のために

会社を続けていきたいと願っていました。

そんなお父様の思いを継ぎたいと

社長に立候補した典子さん。


男性社会の産廃業界で

女性には難しいと最初は反対されたそうですが

お試し期間で様々な変革を成し遂げ

最後はその覚悟がお父様に伝わり

正式に社長を引継がれました。


その過程での様々なチャレンジについては

惜しみなく著書に書かれていますので

ぜひ一読して頂きたいです。




ちょうど社長の石坂典子さんの講演会があり

参加してきました。


最初に

「ミッションがあれば会社が変わるわけではない」

とはっきり(笑)


ミッションを掲げた上でどんな事をしてきたのか

特に社員との取組みについて

たくさん教えてくださいました。


目指すは自走する組織

指示待ち人間で誰かに言われて行動するのでは無く

社員も社長と同じように考え行動してもらいたい。


経営者は四六時中会社のことを考えているけれど

社員は場がなければ考えないので

考える機会を設ける。


例えば・・

新卒採用サイト作りを新入社員に任せる

特定領域についての勉強会を運営してもらう

とにかく色々と任せ

考える場を提供しているとのことでした。


理念・ビジョンをくりかえし伝える

考える場を提供することは

単に丸投げすることとは違いますよね。


会社としてどうありたいか

どうなっていきたいか

しつこいくらい伝えるのがトップの役割。


社内報や全体集会で伝えるのはもちろん

特定の年代や領域の社員を集め

少人数で話す機会も大事にされていました。


先を見通す事が出来るよう手助けをする

いくら素晴らしい会社のビジョンがあっても

個の目標を明確に出来ないとビジョンと結び付かず

結局は辞めてしまうとのこと。


これはどう?あれはどう?と反応を見ながら

押し付けるのではなく

自分で考えるようはたらきかけ

目標やなりたい姿を具体化する手助けをする。


それにより使命感が生まれると、

働き方も自ずと変わってくる。


社員の方々のお話も聞いたのですが

自分の目標と会社のビジョンがきちんとあっていて

それを話す時の皆さんが生き生きとしていました。


会社の本気を見せる

一人ひとりが従事する専門的な業務に加えて

複数部署を横断する形で、常時15 ~ 20 の

課題解決型のプロジェクトが走っているそうです。


社員は目標に合ったプロジェクトに参加しますが

片手間でやらせるのではなく

会社として、時間もお金もかけることで

本気度を示します。


考えるだけで終わらず

必ず実践までセットでやらせるのは

体験したことは7割残るとされているからだそうです。


実体験が豊富でイノベーションを起こせる人材は

こうして育っていくのですね。




昼食でいただいたパンにも

会社の本気を感じるストーリーがありました。


Farm to Table 実践推進をされている社員のAさん。

元はイタリアン料理のシェフで

自分の引き出しを広げたいと石坂産業に入社。


自社栽培の有機小麦を活用したいと

パン作りは経験が無かったそうなのですが

沖縄のパン屋さんへ研修に行き

三富今昔村でパン製造を開始出来るまでになりました。


こうしたチャレンジの後押しをしてくれる会社って

やはりすごいなと思います。


Aさんにとってのやりがいや会社の魅力は

・新しいチャレンジが多い

・行き詰まった時のサポート

・会社理念が好き

・循環をデザインする会社の一員である

だそうです。


サステナブルの主体は人である。

どの業界、どの組織でも、

結局はそこに行き着きますね。