カフェでギフトエコノミーのワクワク体験

「ゆっくり、いそげ」という本の著者

影山さんが営むクルミドコーヒーを訪れてきました。


本の副題は

カフェからはじめる人を手段化しない経済。


ギフトエコノミーや贈与論の

実践例として見るのも面白いですし

純粋にカフェとしても居心地良く

楽しい場所でした。


クルミドコーヒー


開店の11時頃に訪れましたが

店内は7~8割埋まっており、

人気店であることが伺えます。


とはいえ店内は適度なゆとりがあり

窮屈な感じはありません。


くるみ割り人形


店内には、子どもはもちろん

大人も童心に返って楽しめるような

可愛いものがさり気なく置かれています。

こちらはくるみ割り人形。


壁に空いた穴の奥には何があるのだろう?

壁に穴が開いている?

と不思議に思い近寄ってみると


壁の穴から見えたのはリスの影

リスを発見!


こうした仕掛けも

誰かが気がついて初めてギフトとして成立します。


気がつかなかったからといって

誰かが悲しむことは無く


贈る側の人はただ

いつか誰かが気がついて、

喜んでくれるかもしれない、

それだけを思って、ギフトを贈り出す。


そうして回っていく贈与の世界は

何だかワクワクしますね。


クルミドコーヒー店内には本がたくさん


店内にはあちこちに本があり

胡桃堂書店として出版もされているようです。


クルミドコーヒーの唯一の注意点としては

好奇心を刺激する仕掛けが満載なので

注文に中々たどり着きません。


あなたにお手紙が届いているかもしれません

ようやくメニューを開こうとすると

「お手紙が届いているかもしれません」

とメッセージが。


どういうことだろう?と思っていると

お手紙コーヒーのことでした。


お手紙コーヒー


このラックにあるのは全て

クルミドコーヒーを訪れたお客さんが書いた手紙。


これは自分宛だと感じるものがあれば

返事を書き、店員さんに渡すと

手紙の送り主に返送してくれます。


手紙はコーヒーチケットを兼ねているので、

自分宛の手紙を見つけた人は

コーヒーを一杯おごってもらえる仕掛け。

これもギフトですね。


ご自由にどうぞのクルミ


訪れた人みんなが気が付くだろうギフトが

テーブルに置かれたご自由にどうぞのクルミ。

一人何個まで、といった制限はありません。


貴重な国産クルミで、

産地は長野県東御市です。


この取組みはカフェにとってはリスクだけれど

どれだけ「贈る」仕事をできていて

お客さんに届いているかのバロメーターだそう。


確かにこんなにワクワクする空間で

心地良いサービスをしてもらったら

こっそり持って帰ろうとは思わないだろうなと。


シルバーのくるみ割り人形


本の中で影山さんは

私たち一人ひとりの中には

消費者的人格と受贈者的人格の

両方が存在していると言います。


消費者的人格は

「できるだけ少ないコストで、できるだけ多くのものを手に入れたい」

と考える人格。


受贈者的人格は

「ああ、いいものを受け取っちゃったな。もらったもの以上のもので、なんとかお返ししたいな」

と考える人格。


クルミドコーヒーでは

あまり消費者的人格を刺激し過ぎないよう

ポイントカードは無いそうです。


ご自由にどうぞのクルミや

店員さんのおもてなしを含めて

店内に隠れた様々なギフトが

受贈者的人格を刺激していることは

今回のカフェ時間を通してよくわかりました。


店内は遊び心ある空間


この受け取ってしまったという感覚を

本では「健全な負債感」と呼んでいます。


負債といっても後ろめたいものではなく

本当にいいものを受け取ったとき、

感謝の気持ちとともに

人の中に自然と芽生える

前向きな返礼の感情、だそうです。


それがまた、

次のワクワクするギフトを

贈り出す原動力になるのだろうなと。


ギフトエコノミーは机上の空論ではなく

実際に取組まれていて

ワクワクするもの。


ぜひ訪れて体験してみてほしいです。


参考

  • 本「ゆっくり、いそげ」

    本「ゆっくり、いそげ」









  • 本「世界は贈与でできている」