世界自然遺産!西表島で体感する生物多様性

世界自然遺産に登録された八重山諸島の一つ

西表島へ行ってきました。



西表島といえばヤマネコが有名ですが

世界自然遺産で評価されたのは、

ヤマネコの暮らしも支える島の生物多様性でした。



例えばトゥドゥマリ浜を歩いてみると



早速グンバイヒルガオの群生が。



これはウルトラマンの実

ではなく、サキシマスオウの実。

ヤドカリやカニもたくさん。

この子たちが歩いた後は

こうしてブルドーザーのような跡に。

真ん中の線は貝殻で、

その左右を歩くのでこんな形跡になるのだそう。


マングローブの苗。

波に流されながら

このペン先のような部分が地面に突き刺さり

そこで育つのだそう。



マングローブの落ち葉。

木にとって不要な塩分は

この黄色い葉が集めて自ら散ります。

健気です。




トゥドゥマリハマグリの貝殻。

以前は食用だったそうですが、

天然記念物となり、今は食べられません。


他にも鳥類や爬虫類、昆虫類など

とにかく多くの生き物が生息していることが

浜辺を往復するだけでわかります。

これが種の多様性として評価されている理由ですね。



トゥドゥマリハマグリは帯状の線が特徴ですが、

このように同じ種でも見た目が異なることも。

こちらは遺伝子の多様性として評価されています。



上流に向かうと

浦内川と海水が混じる汽水域に。

ここにも様々な魚がおり、その数407種類。

河川での魚の種数では日本一。

二番目は四万十川で200種類程度だそうで、

その倍以上。まさに生物多様性の宝庫ですね。




ここからは船でマングローブ林を眺めつつ進みます。

マングローブは、汽水域に生息する常緑樹の総称で、

日本にあるマングローブ7種全てが生息しているのは、

ここ西表島だけだそう。



マングローブだけでなく、

立派な松の木も。

琉球松だそうです。



途中で船頭さんから、ジャングルのこの辺りに

50年ほど前までは集落があったというお話が。

1970年代まででしょうか、結構最近です。


近くに炭鉱があり、炭を作って売ったり、

稲を育てて暮らしていたのだとか。

稲がたくさん採れたので、

稲葉という名前の集落。


ここ浦内川から30分くらい歩いたところに

レストランがあるのですが、

その名前が「キッチン稲葉」。

オーナーさんがこの集落の出身ということは

後から知りました。



西表島は気候的に二期作が可能で、

この時はちょうど夏に植えたものの収穫時期。


太陽の光と水が豊富な西表島ならではですよね。

日本で二期作が出来るとは、驚きました。



こちらはお結び屋さんに教えて頂いた

農道沿いの田んぼ。

刈取られた後でしたが、

水たまりには鳥たちの姿がたくさんありました。



こうして山、川、海、田畑を中心とした里山と、

それぞれの場所で

生き物が有機的に循環している。

これが生態系の多様性。


生物多様性条約では、

「生態系の多様性」

「種の多様性」

「遺伝子の多様性」

三つのレベルでの多様性含むこと

とされていますが

西表島ではお散歩をしているだけで、

それぞれの多様性を実際に見て

体感することが出来ます。


八重山諸島の中でも特に

自然のままに残された場所が多い

生命力溢れる魅力的な島。


感動で旅を終えられると思っていたのですが


実は世界自然遺産に指定されるにあたって

繰り返しIUCNから指摘を受けている

オーバーツーリズムの問題がありました。

これについては別記事にしたいと思います。


参考

生物多様性センター掲載の生物多様性条約

IUCN World Heritage Evaluation Report