その義務は何のため?権利とセットで考えよう

たくさんあるSDGsのテーマの中では、

地球環境分野に興味があるのですが、

サステナブルの課題の中心は、

結局のところ私たち人間。

そう考えると、例えば人権といった分野の理解も

深められたらいいなと思っていました。





するとタイミングよく、

環境活動家の谷口たかひささんのお話を聞ける機会がありました。

谷口さんはドイツで環境活動をされていた経験を基に、

日本でも環境問題のことを知っている人を増やしたいと、

国内で毎日!お話会を開催されています。

全国を巡っているので家に帰る時間も無く

家を解約してしまったほどだそう。

それくらい精力的に取組まれている方なので、

その思いに動かされる人も多いのだと思います。




ということで、権利とは?について、

谷口さんから学んだことを紹介したいと思います。


ここでは、義務とセットで考えます。

  • 義務とは?
    • やらないといけない
    • やってはいけない

  • 権利とは?
    • やってもいい
    • やらなくてもいい

とてもシンプルですよね。

こうした義務や権利を、各国の国民がどう捉えているのか、

調査したアンケートがあるのですが、

権利に対するポジティブな回答は、

日本では押並べて低いそうです。

例えば

「他人に迷惑をかけなければ、何をしようと個人の自由だ」

自分には自由と権利があり、尊重されるべきだと

思っている人ほど Yes と答え、

義務に敏感で自由や権利に躊躇する人ほど

 Yes とは答えにくい。



案の定、日本では Yes の回答数は少なく、

講演する学校で Yes の回答は1割程度だそう。

手を上げなかった子に、個別にどうして?

と理由を尋ねると、

毎回同じような答えが返ってくるといいます。

「やれと言われたこと以外のことをやると、怒られるから怖い」

子どもの頃に感じたこの怖いという気持ち。

気付かないまま大人になり、

この感覚を持ち続けている人もいるのかもしれません。





義務と権利の話で、

よく勘違いされているのが義務教育だそう。

私自身も聞き覚えのある

「勉強するのは子どもの義務」という言葉。

実はこれ、義務があるのは保護者の方で、

子どもにあるのは教育を受ける権利です。

  • 日本国憲法第26条
    • すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
    • すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。

つまり
  • 子どもには、教育を受ける権利がある。(やってもいい、やらなくてもいい)
  • 保護者には、子どもに教育の機会を与える義務がある。(やらなくてはいけない)

子ども自身が辛くなったら、逃げていいし、止めていい。

そう谷口さんが付け加えていたのが印象的でした。





 

この話を聞いて、昨今の努力義務という言葉も、

同じような話かもしれないと思いました。

厚生労働省のワクチン関連サイトには、

「努力義務とありますが、義務とは異なります。」

「接種を受けることは強制ではありません。」

「皆さんの意思で打つものです。」

といった説明が続きます。


義務でないならば、

なぜ義務という言葉を使ったのだろう?

と不思議に思っていたのですが、

義務教育の話と同じように考えてみると、

私にはしっくりきました。

  • 国民には、ワクチン接種を選択する権利がある。(やってもいい、やらなくてもいい)
  • 国には、国民がワクチン接種を正しく選択出来るようにする義務がある。そのために必要な情報を提供する義務がある。など。(やらないといけない)

私たち一人ひとりには権利があり、

その権利のために義務は存在する。

義務と権利はセットではたらくということ。

大切な学びとなりました。





参考

環境活動家谷口たかひささんのブログ 義務と権利についての記事

文部科学省の日本国憲法(条文抜粋)

厚生労働省関連ページ