日本の本気ワイナリー その二

日本の本気ワイナリー Cave d'Occi で

すっかりその世界観にひき込まれ、

創業者の落さんの本も読了。

その落さんが、新たなワイナリー作りに挑戦中と聞き、

Occi Gavi Wineryを見学してきました。



気候変動の影響を受けると、

葡萄作りに適した場所が変わってしまうと、

北は北海道の余市町を選んだ落さん。

こうした問題を逆手に取った挑戦って、

本当にすごいですよね。



改めて落さんのワイナリーでのこだわりをおさらい

  • 購入した葡萄ジュースを使うのではなく、自ら育てた葡萄を使うこと。
  • 故にワイン造りのプロは葡萄作りのプロであること。
  • 食用の葡萄品種ではなくワイン用の葡萄品種を使うこと。
  • ワイナリーは顧客を迎える場所として景観を大事にすること。

他にも色々あると思いますが、

特に印象的だったのはこのあたりでしょうか。

Occi Gavi Wineryの蔵

ワインは熟成させるほどに価値を増すプロダクト。

大量生産・大量消費のために

急いで売上を求める日本のやり方ではいけないと、

本でも警鐘を鳴らしていて、

今回ご本人からも同じ説明がありました。


時代の流れとしても、

日本で新ワイン法が施行され、見直しがかけられています。

落さんは、

「日本は是正するのも早いから、これからちゃんとしたワイン産業に発展するでしょうね」

と、優しく笑っていました。

Occi Gavi Wineryの蔵

蔵ワインの一部。

世に出るシャンパンは外から炭酸を入れるそうですが、

こちらは少しの糖分を入れて

発酵のため逆さにして寝かせる手法。

ご自分で飲む専用だそうで、頭首の特権ですね。


そしてここにあるワインの多くはラベルが付いていません。

実は Occi Gabi の顧客の7割は女性。

彼女たちは綺麗なラベルを好むので、

早いうちからラベルは貼らないようにしていると。


一方ヨーロッパでは、

ラベルがボロボロなほど古いワインとして好まれるそう。

本場のスタイルでいくことも出来たと思うけれど、

顧客をよく見て、

譲れるところと譲れないところのバランスを取っている。

流石だなと感心しきりでした。


Occi Gavi Wineryの荷車

この荷車は、Occi Gaviが出来た時に、

ドイツの友人から送られたプレゼントだそう。

親しい人が家を建てたら、

自分の家の一番古いものをプレゼントする。

もらった人は、ゲストから見える場所に飾るという習わし。

古きものに価値を見出す、素敵な文化です。


Occi Gavi Wineryのガーデン

美しいガーデンも。

落さんの計画では、電線の地中化を進め、

宿泊施設も考えられていると。

こうして夢を一緒に追いかけたい顧客=ファンと

共に築いていくワイナリー。


Occi Gavi Wineryの赤ワイン


創業約9年と、ワイナリーとしては若い Occi Gavi。

今熟成させているワインは

まだ自信がないとおっしゃっていましたが、

こちらで頂いたワインはとても美味しかったです。

そしてこれからどんどん進化するのだろうなと、

この先がとても楽しみになりました。


Occi Gavi Wineryの葡萄

そんな Occi Gavi の落さんから一つ大事なお話が。

北海道で新たな挑戦を始めたのは良いが、

後継者が決まっておらず、絶賛募集中。

奥様のご意向で候補となる女性を探していると。

もちろん男性も大歓迎だそうです。

ワインの知識は問わないそうで、

なぜならばドイツ留学に行ってもらうからと!

落さんご自身も本場ドイツで、

少し遅めのスタートをされた経験がおありなので、

勝手な推測ですが、今から留学なんて・・

と年齢を気にする必要は無さそうでした。


Occi Gavi Wineryの保護犬

ワイナリーは何十年、何百年と続いていく、

サステナブルという言葉が流行る前から

サステナブルを考え実践してきた産業。

時代とともに価値観も変わっていくかもしれない。

けれど、その時々で大事なことを、

「人」が引き継いでいきながら。

サステナブルのベースにあるのは人である。

そんな当たり前のことに、

改めて気づかされたワイナリー滞在となりました。




参考

Occi Gavi Homepage