日本の本気ワイナリー

ワイナリー訪問前のイメージは、

葡萄畑とワイン醸造所があって、

その場でワインのテイスティングが出来たり、

製造工程を見たりして、

大人の社会科見学として楽しむものなのかな、

なんて思っていましたが。



長谷川エレナ朋美さん主催のリトリートツアーで

Cave d'Occi ワイナリーを訪れたら


社会科見学的な要素が楽しいのはもちろん

それ以上にこの地の景観が美しく心底癒されたり

この先何十年、何百年のワイナリーに思いを馳せる

作り手のストーリーに感動したりと

想像以上に素晴らしい時間を過ごすことが出来ました。


Cave D'Occi ワイナリーの景色


葡萄はこの土地や気候に合わせて欧州品種から選び、

愛情込めて大切に育てられていました。

畑にも創意工夫が施され、

葡萄棚にして数多く実らせることを優先するのではなく、

一本ずつ間隔をあけて植えることで、

空気を通りやすくし、

病気になりにくくしているとのこと。

説明して下さった方も、

とっても贅沢な植え方だと仰っていました。


通気性を確保するために間隔をあけている葡萄畑

ネコらしき足跡が残る畑。

この地は角田浜という砂地だそうで、

通常は葡萄が育ち、ワインに使えるだけの

収穫が見込めるのに3年かかるところ、

ここでは5年かかったそうです。


角田浜という砂地の畑では、猫の足跡が残っていた


砂地では葡萄に向かないのか?

というとそうではなく、

むしろ創業者の落さんの本を読むと、

大変研究された上で、

あえてこの場所を選んでいました。

そしてこの地でしか出来ないワイン造りをされている。


ウェルカムシャンパンはCave D'Occiの未来をしょってたつことになる品種「アルバリーニョ」


例えばこの写真の原料となる葡萄、

アルバリーニョというスペイン原産の品種は、

角田浜で育つことで、より香りが豊かで複雑味ある、

スペイン本家のものとは、味も香りも異なるワインに。


このワイン専用の葡萄品種を育てることも、

重要なポイントだそう。

日本では生食用の葡萄品種を

ワインに使いまわすことも少なくなく、

落さんの本では、この日本のやり方ではいけない!

と、ワイン用品種にこだわりぬいたエピソードがありました。


ワイナリーでは山側に太陽が沈み、素敵なサンセットが見られる


ふと見上げると葡萄畑に夕日が沈みかけていました。

心地よい風が吹き、日が暮れると涼しい虫の声。

こうした身近な自然に癒されます。

そのすぐ側、醸造所の周りには、

美しく整えられた欧風ガーデンが。

季節ごとに花を咲かせ、

きっと静かな冬も美しいのだろうと思わせる雰囲気です。

綺麗に整えられたヨーロッパ風ガーデンも見どころ


どこを切り取っても美しく驚いていたところ、

1960年代、カリフォルニアのナパバレーで、

ロバート・モンダビさんが庭付きワイナリーを始められ、

そのやり方を真似ていると。


こうして景観を整え顧客を迎え、

畑や醸造所で働くプロたちが、

製造工程や彼らのこだわりを説明することで、

ファンになってもらう。

私もすっかりファンになって帰って来ました。


地下のワイン蔵では樽保管で樽の香りを馴染ませる。

ワインは時間が経ち、

熟成されるほどに価値を増すプロダクト。

大量生産・大量消費の真逆を行く価値観。

いいですね。


顧客に耳を傾けつつも、

まずは自分たちがどうありたいか?

を徹底して考え抜いているからこそ、

ぶれないワイン造りが出来ているし、

そこにファンも集まるのではないかと、

お話を聞いていて感じました。


限定製造の動物シリーズも大切に保管されていました。

そんな自分たちがどうしたいか?

を大事に作られた動物シリーズのワイン。

通常は葡萄の品種やその土地らしさを優先して

ワイン造りをされるそうですが、

この動物シリーズでは

そういったこだわりを一旦横に置いて、

生産者が自分の好みを表現している作品。

中々お目にかかれないとあって、大人気だそうです。


多くの方が、このワイナリーのビジョンに共感し

方針に納得し、つい応援したくなる。

生産者と応援する消費者の構図。

その結果、ここで生産されたワインのほとんどが、

訪れた人々に現地消費される。

正に地産地消。

ビジネスとしても、

とってもサステナブルなと思いました。



参考

Cave D'Occi ホームページ

Cave D'Occiを立ちあげた落さんの本