水庭で感じるアートとしての自然

この夏訪れた「アートビオトープ那須」。

せっかく頂いたパンフレットを

現地に置いてきてしまったので、

記憶だけを頼りに。

アートビオトープの看板の先には川がありました


以前は二期倶楽部だったこのエリア。

現在その一部は星野リゾートが運営する

リゾナーレ那須となっていますが、

残った部分のオーナーさんは変わらずだそうで、

アートビオトープ那須として宿泊レジデンス、

スイートヴィラ、そして水庭、

といった素敵な空間が出来ていました。


水庭の看板から先はツアー参加者か宿泊者のみ通行可能です

そしてこの水庭、

一見すると人の手が加えられていない

神秘的な自然景観のように見えますが

実は緻密にデザインされた芸術空間。


水庭という名前の通り、たくさんの水たまりがあります

アートビオトープ那須としてスタートした際、

最初に建ったのがレジデンス塔。

その後スイートヴィラを作る場所に雑木林があり、

その木々を伐採するのではなく、

なんと近くにあった草地に移動してしまおう!

という計画になり、

出来上がったのがこの水庭なのだそう。


レジデンス棟の前にはちょっとしたくつろぎスペースが

木を丸ごと移動させるのに

必要な機械は日本に数台しかなく、

一日せいぜい3~4本運ぶのが限度ということで、

丸3年かけてデザイン通りの配置に仕上げたそうです。


水たまりの下には防水シートが隠れています


そしてアートなポイントがもう一つ。

本来の自然植生では、

ここにある木々はこんなに水たまりの近くには

生息しないそう。

そのため水たまりの下に防水シートを張り、

木々に影響しないまま

近くの川に流れていく設計にすることで、

自然界では中々見られない共演が

可能になっているとのことでした。


植物を傷つけないために、この石の上だけを歩きます

この水庭では、足元の植物たちを傷つけないよう、

こういった石の上だけを歩くお約束。

時々行き止まりもあったりして、

あっちに行くにはどこを回ったらいいんだろう?

と考えたりする楽しみも。


むかーし昔から続いているとされる、

ありのままの自然も素敵だけれど、

こうして人の手で作られたガーデンという形も

また素敵だなと。

素直にそう思える空間でした。


アカツメクサやクローバーも発見


人間の手が加わっていない自然、

人間以外の動植物によって形成されている空間は

どんどん希少になっていて、

それを保護するという観点はもちろん大事だけれど。

かといって人の手が加わった自然が大切ではない、

ということにはならないですよね。



水庭の奥には岩が飾られていました

長い歴史の中で人が手を加えながらも、

いい塩梅を維持してきた、

暮らしの知恵があるのではないか。

実は特別なことをせずとも、

SDGsを実践している暮らしがあるのではないか、

と思っていたのですが。


実はブルーベリーが生っている小道

今回のようなガーデンという考え方にも、

漠然とですが、自然と調和した

サステナブルな生き方の可能性を感じました。

この先何年、何十年と経った時に、

このガーデンがどうなっていくのか、

その経過も楽しみにまた訪れたい場所です。




参考